死神の精度『死神の浮力』/伊坂幸太郎/文藝春秋 文春文庫/780円+税外部リンク 
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主人公である千葉は、実は「死神」。
対象の人間を7日間にわたり調査し、その死について可否の判断を下す仕事をしている。
対象人物のほとんどを「可」とし、死に至らしめるシビアな一面がある一方で、音楽をこよなく愛し、トンチンカンな発言をして会話がまったく成立しない・・・といった、どこか憎めない一面も持ち合わせていた。
以前、シリーズの前作である『死神の精度』を読み、大変面白かったので、本書が登場し手に取ることが出来たときは本当にうれしく思いました。前作は6つの話から成り立つ連作短編集でしたが、今回は500ページを超える大長編。一人娘を殺害した犯人の男に復讐計画を立てている夫婦のもとに千葉が現れる場面から物語はスタートします。

正直なところ、話の内容がかなり重たいので、途中読んでいて、苦しく絶望感いっぱいになります。しかし、千葉の天然ともいえるオトボケぶりは相変わらず健在で、時々登場するトンチンカンな会話は、張り詰めた空気を少し和らげてくれました。なにしろ死神を巻き込んでの壮大な復讐劇は大変読みごたえがあり、最後まで本から目を離すことが出来ませんでした。

もし、前作『死神の精度』のような軽めのストーリー展開で娯楽性の強い内容を期待したのであれば、本をめくったとたん、「あれ?」と面食らうかもしれません。実際私もそうでした。でも、内容が深刻で、テーマが重たい分、物語自体に深みが増したような気がします。なので、前作とは違った魅力を発見できるのではないかと思います。もちろん、前作を知らなくても十分に楽しむことが出来ますが、私は両方とも読んでみることをお勧めします。怖いけど怖くない、冷酷だけど温かい・・・そんな死神の不思議な魅力を思う存分堪能してみるのもいいんじゃないかと思います。

本厚木ミロード南館店・KH


『死神の精度』
文春文庫/560円+税
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