『四月になれば彼女は』/川村元気/文藝春秋/1,400円+税
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『世界から猫が消えたなら』で死を、『億男』で金をテーマに小説を書き上げた川村元気が、恋愛に挑み出来上がったのが、『四月になれば彼女は』です。
結婚を控えた精神科医の藤代のもとに、大学時代に付き合っていた彼女ハルより、9年ぶりに手紙が届きます。世界の各地を旅しているらしいハルの手紙は、美しい風景や街の人々との交流に彩られています。
数回に分けて届く、とらえどころのない手紙自体もミステリアスですし、藤代とハルの恋愛の終わりも非常に気になる物語です。
淡く思い出されるふたりが所属していた大学写真部の人間群像や、藤代の現在の職場である大学付属病院の精神科の現実と婚約者との生活が、読み心地の良い速度で語られていきます。
精神科の後輩女性医師の奈々の言葉にはハッとさせられるものが多いです。曰く、
「愛情といえばなにもかもが許されるのが嫌なんですよ。愛し合うふたりは無条件で美しくて素晴らしいものだという感じが」
「ほとんどの人の目的は愛されることであって、自分から愛することではないんですよ」と確信的に言っています。
私は、恋愛小説というものが、もう読者の賛同を得られていないんじゃないかと時々感じることがあります。
現実の恋愛のあいだに流れる空気感や、相手の多様性、心の動きや表現の仕方、問題行動など、現実のほうがはるかにエキサイティングで面倒でみじめです。
しかし、この小説には、確かに、ひとつの恋愛というものが、その人、ひとりひとりにとってかけがえのないとても大切なものであることが、切なく心に突き刺さるほど刻まれています。
文/
STORY STORY(小田急百貨店新宿店本館10F)・TH
精神科の後輩女性医師の奈々の言葉にはハッとさせられるものが多いです。曰く、
「愛情といえばなにもかもが許されるのが嫌なんですよ。愛し合うふたりは無条件で美しくて素晴らしいものだという感じが」
「ほとんどの人の目的は愛されることであって、自分から愛することではないんですよ」と確信的に言っています。
私は、恋愛小説というものが、もう読者の賛同を得られていないんじゃないかと時々感じることがあります。
現実の恋愛のあいだに流れる空気感や、相手の多様性、心の動きや表現の仕方、問題行動など、現実のほうがはるかにエキサイティングで面倒でみじめです。
しかし、この小説には、確かに、ひとつの恋愛というものが、その人、ひとりひとりにとってかけがえのないとても大切なものであることが、切なく心に突き刺さるほど刻まれています。
文/



