


突然ですが1月に公開されたマーベル最新映画「ドクター・ストレンジ」はご覧になったでしょうか。
私はもちろん初日に鑑賞し、その目の回るような映像のアトラクションとオーソドックスながらも心を打つ魔術師ヒーロー誕生譚、ハマり役しかいないすばらしい俳優陣に大興奮でした。
ところでMCUおなじみエンドクレジット後のおまけ映像の、あるキャラクターのとあるセリフ(映画の本編には関係ないのでネタバレにはあたらないと思いますが、念のためセリフ自体は伏せます)を聞いて、私は「東京創元社の翻訳ファンタジー物のタイトルにありそうなフレーズだな」とぼんやり思ったのです。
映画の余韻に浸りながら帰途につき、ふと手元のスマホでくだんのセリフを検索してみました。
あのセリフそのままのタイトルの小説がある!?
でも絶版だ! でも同シリーズの短編集が2015年に復刊してる!
そうして出会ったのがこちらの本です。
そして出版社は東京創元社ではなく早川書房でした。早川書房さんごめんなさい。
時代は1960年代、舞台はイギリス・フランス……
とは言っても8世紀に及びプランタジネット朝が統治するifの英仏帝国、
とは言っても8世紀に及びプランタジネット朝が統治するifの英仏帝国、
きわめつけにこの世界では科学の代わりに魔術が発達し、キリスト教会の監督下、正統的信仰を持った免許持ちの魔術師が大手を振って活躍している、というユニークな設定の歴史改変SFファンタジー“ミステリー”です。
主人公のイギリス人捜査官ダーシー卿自身は魔術師ではありませんが、相棒のコロコロとしたおしゃべりなアイルランド人魔術師マスター・ショーンと共に魔術で鑑識、検死などの“科学的な”捜査を行い、その証拠を元に事件を推理していくというまっとうなミステリー小説なのです。
オカルティックで古式ゆかしい世界を温存しながらも電話や冷蔵庫を思わせる魔術的科学技術(?)があるのもまたおもしろく、 英仏帝国の歴史はどこから分岐したのか、帝国と敵対関係にあるポーランド王国の思惑、異端信仰の秘密結社、二重スパイ……世界観にいちいちわくわくさせられます。
お好きな人にはたまらない要素全部乗せ丼のような設定盛りですが、派手にならずあくまでストイックに話が運んでいくのもニクいのです。
オカルティックで古式ゆかしい世界を温存しながらも電話や冷蔵庫を思わせる魔術的科学技術(?)があるのもまたおもしろく、 英仏帝国の歴史はどこから分岐したのか、帝国と敵対関係にあるポーランド王国の思惑、異端信仰の秘密結社、二重スパイ……世界観にいちいちわくわくさせられます。
お好きな人にはたまらない要素全部乗せ丼のような設定盛りですが、派手にならずあくまでストイックに話が運んでいくのもニクいのです。
