806『ガソリン生活』/伊坂幸太郎/朝日新聞出版/780円+税外部リンク 
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「ガソリン生活? どういう意味だろう」
と思いながらページをめくると、物語の語り手が車でびっくり。
メインキャラクターである望月家の自家用車である緑色のデミオが、隣家の車とおしゃべりをしたり、走行中すれ違う車たちと噂話をする、不思議な世界観の物語がはじまります。
どちらかというと平凡で、平和に暮らす望月家ののんきな兄と聡明すぎて子供らしさが欠けた弟が、ドライブ中に偶然通りかかった女優を車に乗せてから、次々と事件や謎に巻き込まれていきます。

パパラッチやいじめなど、現実での社会問題に通じるような出来事が起こるのですが、それを車たちが真剣に推理したり、持ち主を心配したり、何かひらめいたときは、「ワイパーが動きそう」な感覚になったりと、ユーモアたっぷりに描かれているので、テンポよく読み進めることができます。

車同士の会話と人間たちが立ち向かう事件や些細な出来事、ばらばらだったピースが少しずつつながっていくのが、本当に愉快で痛快!
そして最後はじんわり温かい気持ちになれる物語です。

文/ ららぽーと湘南平塚店・IT
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