014『ボタニカル・ライフ』/いとうせいこう/新潮社/630円+税外部リンク 
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我の名は〝ベランダー〟
「ベランダ」で植物を育てている。
決して広い庭で植物を育てる〝ガーデナー〟ではない。

狭い「ベランダ」の中で様々な物語が出来上がっていく。

水をやっていればいいんだ!と言いつつも植物に愛情を込めている著者が妙に愛しく見える。
狭い空間の中で「生」と「死」が交錯し
「花を咲かせる」 「散ってゆく」 「咲くこともなく枯れてゆく」
全て同時に「ベランダ」の中で起こっているのだ。

世界の縮図が「ベランダ」にあるのだ。

だからこそ著者の「植物」に対する感情が、ただの「観賞用」には見えない。
甘やかしたり、突き放したり、成長を喜んだり、元気のない姿を悲しんだり
それはまさに「同士・家族・恋人」のようだ。

著者の「ベランダー植物生活」に憧れ、真似しようとしてみたがこれが意外と難しい。
一生懸命になりすぎたり、面倒になったり。
つかず離れずの距離感で「植物」と接するというのは、こんなに難しい物なのか。
しかし難しいからこそ面白いだろうな、と本を片手に感じた。

文/ アトレ新浦安店・KA
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