909『比ぶ者なき』/馳星周/中央公論新社/1,700円+税外部リンク 
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「此の世をば我が世とぞ思ふ望月のかけたることの無しと思へば」
娘を入内させ天皇の外戚として実権を握った藤原氏。
11世紀のはじめ、摂関政治全盛期に藤原道長が詠んだこの歌は有名だ。
この本は藤原氏の礎を築いた藤原不比等の野望に迫る著者初の歴史小説である。
7世紀中ごろ、中臣鎌足は中大兄に徴用され、
死に際して中大兄から藤原の姓を賜った。
鎌足の子も史もその後継者として称えられるが、
壬申の乱のあと大王となった大海人に疎まれ
朝堂に出仕できず、力になびく世間からも見捨てられた。

有り余る時間、自分だけ隆盛を誇っても意味はない、
どうしたら藤原家が永遠の栄華を享受できるかをひたすら考え抜いた。
不遇ではあるが、史がその時耐えながらも熟慮を重ねていなければ、
道長が我が世の春を謳歌することもなかったに違いない。

やがて、史は朝堂出仕のチャンスを得ると、容赦なく野望を実現していく。
未来を切り拓くのみならず、歴史を書き換え、神さえも操り、
“等しく比ぶ者なき”藤原家のものだけが歩む道をつくりだす。

歴史の一大事を見届けるお勧めの一冊です。

文/ ミウィ橋本店・UE
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