971『眩』/朝井まかて/新潮社/1,700円+税外部リンク 
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先日ドラマ化されご覧になった方も多いかと思いますが、北斎の娘、葛飾応為(お栄)の物語です。

北斎の陰に埋もれてしまいがちな応為ですが、この本を読むと、この時代に絵に生涯を捧げた女性のひたむきな人生に心奪われます。
嫁に行けだの家の手伝いをしろだの言うおっかさんに「絵を描かせてあげて~」と言いたくなります。
偉大な師である父と、兄弟子への叶わぬ恋、悪事を重ねる甥、お栄にとっては人生の雑事も全て、絵に向かう情熱を変える理由にはなりません。

――うん、あたしはへっちゃらだ

お栄が毎朝唱えるように、私も自分に言い聞かせてみます。

よく晴れた冬の日の、空のような小説でした。

文/ アトレ恵比寿店・SF
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