『僕のジロ・デ・イタリア』/山本元喜/東京書籍/1,600円+税
サイクルロードレースの最高峰、グランツールの内のひとつ「ジロ・デ・イタリア」。
3000㎞を超える道中、 山を越え街を駆け抜けイタリアをめぐる過酷なレース。
それを完走した日本人で5人目の選手……
と言ってもピンとくる方は少ないかも知れません。
本書は、悲しいかないまだ日本では“マイナー”とくくられる 事の多い(スポーツタイプの自転車に乗っている人を見かける率と現実の差!)ロードレースの選手、山本元喜選手の初著書です。
過酷な状況にあってその筆致は冷静かつ軽妙で、よくそんな事覚えているなと感心すらしてしまいます。
ロードバイクで走る、という個人種目でありながら、チーム全体で一人のエースを勝たせる、というチーム競技の側面が アシストの一人である山本選手の目を通して描かれており、
ひとつのレースの始終に焦点をあてた内容は、ロードレースファンにはたまりません。
出走前の様子やレース中の会話、食事の様子は観戦をしているだけでは知る事の出来ない部分ですし、
何よりチームの”新人”と愉快(?)な先輩レーサー達、他チームの選手達とのやりとりは読んでいてニヤリとさせられます。
そして本書はグランツールを走る選手としては“遠回り”とされる大学時代を経た、いわゆる普通の少年・青年であった山本選手がいかにして完走に至ったかの記録でもあります。
それは山本選手がこの競技の未来を見据え、これから選手を目指す少年少女達への道をしめす為の挑戦でもあるのです。
あるチームメイトが山本選手に言います。
「走り続ける事が大切だ」
競技振興という長き道を走り続けるであろうこの一冊に、私は“マリア・ローザ”を贈りたいです。
文/
アトレ川崎店・TM



