
大賞受賞作は三浦しをん『 舟を編む

今年も有隣堂スタッフ有志に “私にとっての本屋大賞2012はこの作品!” を選び、熱く語ってもらいました。
本屋大賞ノミネート作だけでなく、この中の本も是非お読みになってください!



容姿はビューティ!やり口はダーティ!
任務遂行のためならばどんな手段も厭わない!警察組織を憎みながらも熱い刑事魂で事件を解決する!金と血と硝煙の薫りを身にまとい、最兇の女刑事“八神瑛子”降臨!
うねりをあげて疾走する怒涛の展開!時折炸裂する強烈なバイオレンス!
読み始めたら止まらないゴキゲンな面白さ!
2012年3月、続編『 アウトクラッシュ

乗り遅れるな!コイツは現在、最もイキがいい警察小説だ!
今回の本屋大賞は三上延さんの『 ビブリア古書堂の事件手帖

(
アトレ恵比寿店・JU)




今年で、バンドワゴンシリーズ

今回は、最後に悲しいことが起こりますが、勘一さんは、「失ったものは、いつまでも抱えてちゃあ重くて歩けない。忘れなきゃならないんだ。」と語ります。シリーズもののせいか、本屋大賞レースからは、毎年はずれているような気もしますが、私にとっては、毎回“不動の大賞候補”東京バンドワゴン、いいですよ!
(
厚木店・AS)




私のイチオシ作家 佐川光晴さんの『おれたちの青空』は『 おれのおばさん

札幌の児童養護施設「魴鮄舎(ほうぼうしゃ)」で暮らす中学生のお話です。
同じ年代の子にもお薦めですが、心の折れそうな大人にも是非読んでほしい一冊です。
“ここではないどこか”に逃げている場合じゃない、と教えてくれます。
大人でさえ自立できない今日このごろ、久々に心震える小説を読みました。
(
アトレ目黒店・HS)




十五年後の自分に向けて書かれた手紙に綴られていた、誰にもいえない等身大の秘密。
登場人物たちに、自分自身を重ねられる人も、重ねられない人にも「青春」って、「歌」って、なんて素晴らしいのだ!
と、普段ではちょっと照れてしまうことを、ごく自然に感じさせてしまう中田永一はやっぱり凄い!
(
厚木店・HI)




国税徴収官という、あまり私たちに馴染みのないお仕事小説ということで「難しいかも!?」と思われるかもしれませんが、それは心配御無用です。働いている人なら誰しも感じる仕事の悩みを抱える一生懸命な主人公に共感して、思わず応援したくなります。ただ単に面白く読めるだけの小説ではありません。払いたくても払えない滞納者たちのお金に対する苦悩や、それがいかなる理由であろうと彼らから徴収しなければならない徴収官たちの過酷な仕事に対する苦悩を感じることで、お金のこと・仕事のことについて真剣に考えさせられます。
(
新百合ヶ丘エルミロード店・TS)




大きな賞を受賞され、多くの方が絶賛されているこの作品、今さら私などがあれこれ述べる必要などまったくないのだがやはり素晴らしいものは素晴らしい!
時代小説が苦手な私が先が気になり一気に読んでしまったのである。
現代の日本人が忘れてしまいつつある、家族への愛情やひとつの決め事を貫き通すというその行為に感動した。また熟練した文章や表現は私を心地よくしてくれた。
我が心の本屋大賞はこの作品以外には考えられない。
(
アトレ川崎店・KO)




正直なところ、私の中の2011年ナンバー1国内小説といっても過言ではない。
静かなインパクトを与えられた。
閉ざされた世界から開かれた世界へ。静の女性と動の女性。
型にとらわれたシステムと新しいシステムとの対立。対立と調和。
恩師の死により、物語の幕が開く。
まるで物語そのものが1つの音楽のようで心地よかった。
(
ヨドバシAKIBA店・AN)




等身大の「青春」を描く朝井リョウの作品は、毎度毎度「キラキラ」していて、「キュンキュン」させられる。
社会に出て十年近く経つと、そんな「キラキラ」や「キュンキュン」とは無縁の生活を送るので、こういう小説を読むと肌が艶々してくる(気がする)。
朝井リョウの描く物語は、ただ学生の群像劇を描くだけでなく、一瞬一瞬の心の機微が本当に丁寧に描かれているので、スッと物語に引き込まれる。
それに加え、今作には最後に思わず「なるほど!」と思わせる仕掛けも隠されていて、エンタメ小説としても楽しめる一作となっている。
(
戸塚モディ店・MS)




夫から亡き妻へ。初めて付き合った彼氏へ。巣立った娘へ。
すでに自分の「日常」ではなくなった、それでも心の奥深く一等地を占め続ける人への思いを綴った、一人語りの全七編です。
どれも秀逸ですが、特に表題作「嫁の遺言」は何度読んでもホロホロ泣けます。しかも湿っぽくない。
「上質」という言葉がぴったりのお薦め本です。
(仕入・販促グループ・YK)



最近、一番しんどかった時期に自分を支えてくれたのが桜木紫乃さんの作品です。
世間を恨まず他人を妬まず、「そんなものさ」と何事も受け流す女たち。こういう人に私はなりたい。
直木賞・吉川英治文学新人賞を逃した本作品に、せめて“我が心の本屋大賞”を。
(
ヨドバシAKIBA店・IK)




バイト先の歯科衛生士や弁当屋の人妻に誘われちゃうのに、公民館勤めのDV女や貢がせる女子高生とかにハマってしまうバカな鮎太朗。ハンサムなのにバカな鮎太朗。でも読後にはみんな彼に惚れているはず。理由はきっと青山さんの文章が魔法の様に煌いていてるから。「弁当屋の汚い天井をつきやぶって彼女を夜空の高くに吹きあげてしまいそうだった」など、何しろ青山さんはロマンチックで楽しい表現がいい。
(
アトレ恵比寿店・SI)




登場人物の誰にも幸福になってほしいと願わずにはいられない、そんな物語です。
ひとくせもふたくせもある登場人物たちですが、戦後直後というあまりにも薄情な世相の中で、
それでも強烈な個性をすこしも省みることなく突き進む主人公たちがだれも、どれも魅力的。
とくに、空襲で家族を亡くし、子どものままで敗戦を迎えた武雄の心持ちがなんとも切ない。素直に子どもらしい感情を出すには大人びすぎて、でも、心のどこかに残る子どもらしさをもてあます彼には本当に幸せになってほしい、とやはり願ってしまうのです。
とにかく、オススメの一冊です。
(
ルミネ町田店・RS)

文/

