
放送が終わったら電話相談ロスを発症しそうなみなさま、対策として先生がたの書かれた本を読んでみるのはいかがでしょう?
先生の口調や話しかたを知って読むと、本の面白さが倍増します

大人向け読みものを中心に、刊行日が新しめ・有隣堂で売れている・独断のオススメ・なるべく持ち歩きやすい本で “先生の著作おすすめリスト” をつくってみました。
先生がたの本を読み進める入口にどうぞ。
※一覧のジャンルは順不同、お名前は五十音順です。
※2018/8/23現在、一般書店で入手可能な著作が流通していない先生は非掲載とさせていただきました。大変申し訳ございません。
※……個人の感想です。ぜひ実際に本を読んでみましょう!
昆虫
家の中やご近所に出没する生きもの、主に昆虫に詳しくなれる一冊。
「その昆虫の一人称」で生態を解説するという昆虫目線の本なんです。
“コクゾウムシ「米だけでなくパスタも食うたろ」”
“マダラカマドウマ「めっちゃ跳ぶで。壁にぶつかると死ぬけどな」”
(本文より)
電話相談リスナーの方には、くるび先生のおだやかな関西弁の幻聴が聞こえてくるはず。
家に出てくると嫌がられがちな昆虫たちですが、そうやって生きてたのね……と思うと愛着が湧いてきます
丸山先生といえばやっぱり新書の『昆虫はすごい』 や、昆虫調査の旅の実態を記録した『[カラー版] 昆虫こわい』
がたいへんオススメなのですが、今年5月に刊行された『昆虫戯画』も売れています!
昆虫の意外な一面を覗ける丸山先生の解説に、じゅえき太郎さんのじわじわ可笑しさのこみ上げるイラストが絶妙。
ルビがふってあるのでお子さまとも一緒に読めます。
動物
小菅 正夫 先生
(札幌市環境局参与 円山動物園担当)
『ゴリラは戦わない
-平和主義、家族愛、楽天的』
山極寿一 小菅正夫
800円+税/中央公論新社 中公新書ラクレ
2017.02発売/9784121505750
ゴリラのお母さんが赤ちゃんを見せてくれたという小菅先生(獣医さんで動物園のプロ)と、京都大学総長・山極先生(ゴリラ研究の第一人者)が、ゴリラの魅力と動物園飼育について語り合う対論集。ゴリラが知っている幸福な生き方とは?
店頭に在庫がないときは、注文に「HonyaClub有隣堂」もご利用いただけます。店頭受け取りができるので、近隣に有隣堂の店舗があり、宅配便の不在票を見ると罪悪感が込み上げてしまう方はぜひ。
成島 悦雄 先生
(日本動物園水族館協会 専務理事)
『いきものかいかた図鑑 − これ一冊で飼育はカンペキ!』
浅井ミノル・三枝博幸・成島悦雄:文/浅井粂男・滝波明生・松原巌樹:絵
4,500円+税/岩崎書店/2016.12発売/9784265059690
学校などで人気の生き物の飼い方を、精密なイラストと詳しい解説で徹底紹介。岩崎書店『かいかたそだてかた』シリーズの合本版です。
お子さまが「うちでも○○を飼ってみたい!」と熱弁しはじめたら、先生方のように「図鑑で調べてみよう!」から入ってみてはいかがでしょう?
動物園学の成島先生は、生物の色々な本を監修されています。こちらからぜひ ⇒HonyaClub有隣堂で一覧表示
(図鑑ですので、持ち歩きにはあまり向いていないサイズです。ご了承くださいませ)
鳥
“改めて、ここに高らかに宣言しよう。恐竜は、鳥も同然と!” (本文より)
バード川上先生といえば孤島での調査の様子などを綴る『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』がベストセラーになりましたが、電話相談ファンの方には7月に文庫化されたばかりのこちらもオススメ。川上先生が鳥類学者の視点で恐竜を想像していくエキサイティングな一冊です。
毒生物に詳しい男の子の質問「川上先生の本に毒のある恐竜のことが…」は、おそらくこの『無謀にも~』。解説は恐竜の小林快次先生です。
恐竜
化石を見逃さないことから、ニックネームは「はやぶさの目」。恐竜キッズたちの憧れダイナソー小林先生が、学生時代~現在を振り返ります。本の後半はもちろん発掘調査のお話です!
ルビつき・行間広めの児童書ですが大人も違和感なく読める文体 、何よりこの率直な語り口……非常に小林先生です
質問者の男の子が参加したという石を割って化石を取り出す体験に「行きたい!!」と仰っていましたが、そのルーツはもしかして。
水中の生物
“飼っているハゼに海の動画を見せた” という質問に回答されていた林先生による、ハゼのガイドブック。「2003年の初版刊行以降の学術的成果をできるだけ反映させました」という改訂版です。
約400点のハゼの生態写真(きれいです!)、種の特徴や同定、分布、名前の由来をA5サイズ1冊に。……ハゼってこんなにたくさんの種類がいるんですね!
こちらも店頭に在庫がない場合は、ぜひ[本の詳細・注文]からHonyaClub有隣堂をご利用ください。
心と身体
ほどよいやり甲斐を感じられる問題と、脳をイキイキさせる体操がセットに。
ところどころに篠原先生の似顔絵イラストが入っています。かわいいです
篠原先生は脳トレやナンプレの本をたくさん出されているので、気になるものにチャレンジしてみましょう!
⇒HonyaClub有隣堂で一覧表示
植物
アキリ 亘(高橋 亘)先生
(農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門 上級研究員)
『知って納得!植物栽培のふしぎ
- なぜ、そうなるの?そうするの?』
高橋亘 田中修
1,200円+税/日刊工業新聞社/2017.04発売/9784526077081
“なぜ畑の土には黒いビニールをかけるの?”
“なぜイネは水をはった田んぼで育てるの?”
あらためて考えてみると知らないことばかり。そんな「なぜ?」がいっぱいの植物栽培を、田中修先生とアキリ先生が解説。
宇宙では芽と根が上下に伸びる!? 「なぜ?」の部分がすでに不思議な「宇宙ステーションでの栽培のふしぎ」の章も面白いですよ。
実物は数ミリ~数センチの雑草の花を、ページいっぱいのくっきり大きな写真で見られる図鑑。「ピンクの小さい点々が並んでる」としか見えていなかった花も、この本で見ると、うわあこんな形をしてたんだ! と驚きます。
その花と昆虫の関係や、花の構造の解説も端的で面白く、多田先生のようにルーペを持って出掛けたくなる一冊です。
本の判型も小ぶりでかわいらしい佇まい。
植物たちには、「ふしぎ」と、それを支える「ひみつ」がある……なんだかミステリ作品の決め台詞のようではないですか
身近な10種類の植物たちが持つふしぎとひみつとは? タンポポの花が暗さに関係なく約10時間経つと閉じるなんて知りませんでした! 気になる項目だけ読んでもほぼ大丈夫な構成で、電車通勤でちびちび読むにも良さそうです。
内容によっては「どうすれば確認できるか」も一緒に書いてくださってます。番組で仰る「観察してみて」「比べてみて」って、きっとこういうことなんですね。
塚谷 裕一 先生
(東京大学大学院 理学系研究科 教授/同附属植物園 園長)
『スキマの植物図鑑 カラー版』
塚谷裕一
1,000円+税/中央公論新社 中公新書/2014.03発売/9784121022592
アスファルトの隙間から花が……よく見かける光景ではありますが、彼らにとってそこはどんな場所?
「植物はどうしてこういう形をしているんだろう? という研究をしています」と仰っていた塚谷先生が、人間としては「そこ、しんどくないですか?」と思ってしまうようなスキマで暮らす植物たちをカラー図版つきで紹介。
当ブログの過去の記事もどうぞ。
⇒「下を向いて歩くのが楽しくなる」
⇒「あとで家で調べよう、と思いつつ……」
科学
“宇宙の話題から素粒子の話題まで、大から小へ視点を変えながら、「もの」の本質とはなんであるかを考えよう” (まえがきより)
NHKカルチャーラジオ 2017年のテキストです。
私たちはどんな物質で構成されている? 「もの」を構成する最小単位=素粒子と、宇宙とはどう繋がるの?
サラリとお話してくださっているのですが、壮大です!
竹内 薫 先生
(サイエンス作家)
『〈増補新版〉ペンローズのねじれた四次元
- 時空はいかにして生まれたのか』
竹内薫
1080円+税/講談社 ブルーバックス/2017.12発売/9784065020401
世界を代表する数理物理学者ロジャー・ペンローズは、エッシャーの絵で見たことのある「不可能立体(上り続けてしまう階段など)」の考案者でもあるそうです。そのペンローズの宇宙観を竹内先生が紹介してくださる一冊。私たちの宇宙はなぜ四次元なのか? 四次元の性質とは?
現在「在庫あり」の店舗も比較的多め。茂木健一郎先生との共著『10年後の世界を生き抜く最先端の教育-日本語・英語・プログラミングをどう学ぶのか』 も売れてます。
天文・宇宙
永田 美絵 先生
(コスモプラネタリウム渋谷 解説員)
『カリスマ解説員の楽しい星空入門』
永田美絵:著 八板康麿:写真 矢吹浩:星座絵
840円+税/筑摩書房 ちくま新書/2017.07発売/9784480069719
筑摩書房さんの「この本の内容」は、“紙上プラネタリウムの開演です!”という一文で締められています。素敵。
先生と一緒に季節ごとの空で星座を探し、神話や名前の由来、星が見える仕組みなど、様々な星空のお話を聞いている気分になれますよ。これはまさに紙上プラネタリウム!
永田先生の星にまつわる思い出や、お仕事の裏話も登場します。大変チャーミングなので、番組で先生のお話にキュンとされた方はぜひ。
本間 希樹 先生
(国立天文台 水沢VLBI観測所 所長)
『巨大ブラックホールの謎
- 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』
本間希樹
1,000円+税/講談社 ブルーバックス/2017.04発売/9784065020111
巨大ブラックホールに焦点をあてた一冊。大きさは太陽の100万倍~最大で100億倍……本当に巨大ですね‼︎
普通のブラックホール、巨大ブラックホール、それぞれどんな天体? という話題から始まるのですが、先生は
“もし物理が苦手で1、2章がわかりにくいと感じる読者がいましたら、思い切って1、2章を飛ばして3章から読んでいただくのも手です”
とまえがきで言及してくださっています…(優しい…)。
お言葉に甘えて、3章の、理論と観測技術が進歩していくブラックホール研究の歴史から読み始めるのも手です。
ロボット・AI
坂本 真樹 先生
(電気通信大学 教授 / 電気通信大学人工知能研究センター)
『坂本真樹先生が教える 人工知能がほぼほぼわかる本』
坂本真樹
1,800円+税/オーム社/2017.04発売/9784274220500
2018年が初参戦の坂本先生による、人工知能の入門書。
人工知能って何? いったい何ができて、どういう仕組み? 概要がこの一冊でほぼほぼ分かります。実用例も医療や自動車など身近な話題。オノマトペを活用した病気の診断システム…気になります。
イラスト多めでとっつきやすく、気負わず読み進めていくうちに詳しくなれちゃいますよ。
感性に関する坂本先生の研究をがっつり読みたくなった方は、『感情情報学 オノマトペから人工知能まで』 が7月に刊行されています!
夏休み子ども科学電話相談とは?
小中学生からの科学に関する質問に先生方が回答してくれる、NHKラジオ第1放送の番組です。毎年夏休みの午前中に生放送されています。
2018/8/23(木)から後半の放送がスタートしました!
聴き逃し放送や公式書き起こしもどうぞ。
公式サイト: NHK|夏休み子ども科学電話相談
質問まとめ: NHK|夏休み子ども科学電話相談 質問まとめ
聴き逃しサービス: NHKラジオ らじる★らじる(2018/09/末まで)
公式書き起こし: 「夏休み子ども科学電話相談」の検索結果 | NHKラジオブログ|NHKブログ
2017年の年末年始にかけては、同じくNHKラジオ第1で「冬休み子ども科学電話相談」が放送されています。
本を読みながら冬を楽しみにしましょう!
先生方は、このリスト以外にもたくさんの本を執筆されています。
ぜひ読みたい先生の本を探してみてくださいませ。
文/本の泉スタッフ(M)
