『自己流園芸ベランダ派』/いとうせいこう/河出書房新社 河出文庫/700円+税
著者は庭で植物を育てる人が “ガーデナー” と呼ばれることに対抗して、都会のベランダで植物を育てる人を “ベランダー” と表現する。
今作は『ボタニカル・ライフ』に続く、ベランダーの四季折々の植物との営みを記した歳時記です。
著者は庭で植物を育てる人が “ガーデナー” と呼ばれることに対抗して、都会のベランダで植物を育てる人を “ベランダー” と表現する。
今作は『ボタニカル・ライフ』に続く、ベランダーの四季折々の植物との営みを記した歳時記です。
ベランダで育てる植物と言えば鉢植えですが、今作ではその植物の種類も花、野菜、花木、雑草と多彩になっていきます。
もはやベランダで育てる範囲を超えているのではないかと思われる藤、杏子、オリーブなどの植物も出てきます。
どうして都会のベランダでそのように沢山の植物を育てられるか。
著者曰く、「試しては枯らし、枯らしては試す」ので、次から次へと新しい植物を買い求めてしまうのです。
この本に共感できるのは、植物を上手く育てることができた感想ではなく、枯らしてしまったり、枯れたと思っていたら芽が出てきた、虫が出たり、茎が折れたなど、植物との関りに一喜一憂、右往左往するその姿です。
植物を愛しているから、癒される。著者の植物愛に溢れているベランダー本です。
文/ 新百合ヶ丘エルミロード店・YD