183『彼女たちの場合は』/江國香織/集英社/1,800円+税外部リンク 
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「サービス業に10連休なんて関係ない!」と不貞腐れていた今年のゴールデンウィーク。
まさか読書という形でアメリカを旅することができるなんて、思ってもいなかった。

江國香織さん2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』、主人公は14歳の礼那と17歳の逸佳。
ニューヨークに住む従姉妹同士の彼女たちは、2人きりで「アメリカを見る」旅に出る。
長距離バスに乗り、時にヒッチハイクをし、西を目指す。美しい風景に驚き、アクシデントに見舞われ、様々な人々と出会う。

「山すぎて眠くなった」り、ノートに旅を記録したりするのは自分と同じで嬉しくなるし、
「旅をしていると、出来事が全部あっというまに過去になる」「自分がこの風景ごと、未来の自分の記憶の中に閉じこめられているような」感覚になる、というのは今までずっと感じていたことを鮮やかに表現してもらえたようで胸の透く思いがした。

最終盤の452~453ページの2人のやりとりに、「旅」というものの素晴らしさ、切なさ、美しさが全て詰まっている。
これから旅をする時、きっとこの小説を思い出すだろうと思う。

あぁ、困った。旅に出たくて仕方がなくなってしまった! やっぱり10連休羨ましい!!

文/ アトレ恵比寿店・Y・S
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