


本書を読み、“後妻業”というものの存在を初めて知りました。
どんな仕事かと好奇心で読み始めてみれば、お金持ちの孤独な老人を喰い物にした、とんでもなく悪質な詐欺。
いい歳してこんなことに騙されるのか?と疑問でしたが、相手の状況・心理を巧みに利用した恐ろしい手口と、主人公:小夜子の変幻自在で突き抜けた悪女っぷりに、関心、感心、寒心。
人を騙し、殺害を厭わず、躊躇いもなく罪悪感も持たず、目的のために淡々と事を進める小夜子。
発言ひとつとっても、いちいち辛辣で思いやりのかけらも無い。こんな女に人を魅了できるのか?
読み進めるにつれて、被害者や弁護士ではなく、小夜子に肩入れしている自分にハッとしました。
ドロドロとした内容で闇だらけの会話が続くのですが、簡潔な表記とテンポのいい関西弁のやりとりのおかげで、1日で読了できました。
「そんなことは起こらない」「うちは(自分は)大丈夫」と慢心せず、ご一読いただけたらと思います。
文/有隣堂 商品戦略部 A.K
