


戦場が舞台でも、気軽なミステリーを想像して手に取ったら、全然違っててショックを受けたんだけれど、読み終えて深呼吸をして、すぐにまた読み始めました。
主人公のティムは時代の雰囲気にのって志願して軍隊に入隊したアメリカの若者。
食べることが大好きで、おばあちゃんっ子でまわりから「キッド」なんて呼ばれちゃう可愛いところのある彼が、1944年、空挺小銃兵としてノルマンディー降下作戦からヨーロッパの戦場に参加する。
軍隊の組織のこと、装備のこと、戦場になったヨーロッパの姿、食べて、寝て、起きてまた戦う日常のことなどを丁寧に描いているのを読んでいるうちに、気が着くと物語にすっかりとりこまれていた。
常に身の回りに死があって、理不尽がある過酷な日常のなかで、ちょっと気晴らしくらいの気分で乗り出した謎解きは、戦争を背景に意外な姿を見せてくる。
そして個性的な仲間たちのそれぞれの背景が少しづつ見えてきて、小さな事件が繋がって行くと……
今2周目を読んでいて、最初読んだときにスルーした何気ない台詞に、ガーンとやられています。
なにか言ってしまうと、これから読む人の楽しみを奪ってしまいそうなので、「とにかく読んでみて!」というお勧めの言葉をおいておきたいと思います。
文/ アトレ恵比寿店・O.M
