


独特の生活ルールを持って閉じた内面世界を静かに生きる中年独身女性シェリルの家に、上司の娘、肉感的な美人で傍若無人なクリー(しかも足が臭い)が転がり込んできたことから始まる驚きの物語。
うまくいくはずがないまったく性質の違うこの二人の女性たちの出会いに「いい話」を期待してはいけない。
文字通りぶつかり合いながら思いもよらない方へ二転三転していく関係に驚き、いい意味で裏切られる。
文字通りぶつかり合いながら思いもよらない方へ二転三転していく関係に驚き、いい意味で裏切られる。
突然人生に割り込んできた異物に生活をめちゃめちゃにされる主人公、と言うと一方的な被害者のようだがシェリルもなかなかクセの強い人物で、表向きおとなしい生活なのに端々でかなりあけすけに語られる妄想に読者はひやひやしたり目を覆いたくなったりする。
そこで、引くわーと本を閉じないでほしい。一見「痛」くて見ていられないのだが、でもなんかあるわこういうこと……と思い始めたら最後、もう物語に引き込まれてしまう。
そのまま金髪娘に胸ぐらをつかまれてぶんぶん振り回される。負けずにぶんぶん振り回す。手探りで不器用に、時にしっぺ返しを食らいながら。生きるってこういうことか。
そこで、引くわーと本を閉じないでほしい。一見「痛」くて見ていられないのだが、でもなんかあるわこういうこと……と思い始めたら最後、もう物語に引き込まれてしまう。
そのまま金髪娘に胸ぐらをつかまれてぶんぶん振り回される。負けずにぶんぶん振り回す。手探りで不器用に、時にしっぺ返しを食らいながら。生きるってこういうことか。
読後の心に沁みた、訳者 岸本佐知子氏のあとがきを引用したい。
「物語の最初と最後で、シェリルの見る景色は全く変わっている。世界を手に入れるということは、苦しみや寂しさも一緒に手に入れるということだ。それでも彼女にとっても、誰にとっても、世界は生きるに値する良いところなのだ――そう、この物語は語りかけているようだ」
