


オープンダイアローグとは、フィンランドで発展した精神疾患の治療方法です。
関係者が対話を中心としたミーティングを重ねることで精神疾患の治癒を目指します。
投薬・入院といったイメージのある重篤な精神疾患に対して驚くべき効果を上げています。
この本はそのオープンダイアローグの基本を30の言葉にして、対話の心得として一つ一つ解説しています。
それらは医療者でない私たちが日常ぶつかる問題に対しても役立つ考え方です。
一つあげます。
「じっくり聴く」。
自分の意見や判断を入れずに、相手のことばにじっくり耳を傾けること。
相手を理解するための重要な下地となり、相手からも話を聞いてもらえるという信頼感を生みます。
振り返って日常会話の中で、自分はどんなふうに人の話を聞いているのだろう、簡単なようで全くできていない気持ちがしてきます。
そして最後の心得。
「未来への仲間」。
対話による問題解決の経験は、対話に参加した者たちにとってかけがえのない経験となり、また問題が起きたとしても、乗り越えられるという希望になる。参加した者たちは「未来への仲間」となる。
まるで物語を読んできたかのような、希望に満ちた「対話の終わり」に感動を覚えます。
対話は人と人との間でしか成り立ちえません。
とかく煩わしいものと捉えられがちの人間関係ですが、この本は人と人とのかかわりが大きな可能性に満ちたものであることを感じさせてくれます。
文/ 横浜駅西口医学書センター・S.N
