714『家族じまい』/桜木紫乃/集英社/1,600円+税外部リンク 
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子育てに一区切りついた姉のもとに
「ママぼけちゃったみたい」と妹から電話がかかる。

横暴な父、そんな夫に苦労しながらも共に暮らしてきた母。
親の老いに直面して戸惑う姉妹と、
彼らに関わる人々の連作短編集がこの『家族じまい』だ。
この中で私が特に気になるのは、妹の及理(のり)だ。
姉に対する劣等感を抱く彼女は
よき妻、よき母、よき娘であろうとするのだが、
頑張れば頑張るほど、空回りする。

特に夫との会話は絶望的だ。
常に正しく、爽やかなことを言う夫。
でも、彼女が求めているものはそんなことではないのだ。

満たされない思いを抱え、さ迷う彼女は、
スーパーで買った特売の缶チューハイに救いを求める。

初めは一本だけだったが、次第に空き缶が増えていく。

ある夜、つい飲み過ぎた彼女は
今までの不満を夫にぶつけてしまう。
かつてのように抱きしめられたいと夫に迫る……

この時、彼女の中から絞り出される言葉が
切実すぎて読んでいて苦しくなる。

著者 桜木紫乃さんは、何でもない日常の中で
人びとが抱えているどうしようもない思いを
上手に掬いとってくれる方だと思う。

家族のことで、気持ちの整理がつかない方にお薦めの一冊。

どこかに自分自身を見つけるかも……

文/ 戸塚モディ店・FK
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