発達障害『発達障害サバイバルガイド あたりまえがやれない僕らがどうにか生きるコツ47/借金玉/ダイヤモンド社/1,650円+税外部リンク 
有隣堂の在庫を探す

“発達障害” という言葉を最近よく耳にしませんか?

テレビ等で紹介されて知識として知っているという方も多いでしょう。
今は発達障害についての本は書店でコーナーがひとつできるほど数も種類も豊富です。

社会的関心が高まっているという証拠なのかもしれません。
その中で今注目されているのがこの本です。

発達障害専門の精神科の先生が書いた本ではありません。
ADHDという発達障害を持った著者が、どん底から這い上がった経験を活かした生活術の本なのです。
当事者以外でも興味深く読めます。
 
* * *
 
ADHD、「注意欠陥多動性障害」。
注意力が足りずミスが多い、自分の興味の対象以外には全く集中力が続かない、思いついたことをよく考えずに行動に移してしまう、などの症状があります。
また、自閉症スペクトラムの症状をあわせもつこともあり、子供時代から周りと馴染めず、虐めにあったり、自尊心が育たないなどの原因から、後に二次的障害としてうつ病等を発症する場合が多いと言われています。
 
具体的に生活にどんな支障が出るかと言うと、片付けが出来ない、物をなくす、お金との付き合い下手、二つ以上のことが一緒にできない、一つの事にのめり込む周りが見えなくなる等……。

著者の借金玉さんは若い頃、みんなが当たり前にできることが出来ない、人生がまるでうまくいかないと感じていたそうです。部屋はめちゃくちゃ、出かけるための清潔な服も靴下もなく、カバンからは大事な書類がいくつも消えてしまう。

いつも何かに追い立てられられる焦燥感を感じていたといいます。
しかし、発達障害は治せるものでなく、抱えたままうまくやっていくためのノウハウを作り出すしかなかったそうです。
 
* * *
 
この本は「生活環境」「お金」「習慣」など8つの項目に分けて、発達障害を抱えた仲間がより楽に、快適に、優雅に生きられる工夫を47個提案しています。

提案の陰には発達障害を持つ人たちの苦労や、想像を越えた生き辛さがみてとれる反面、それらは持たない人たちにはなかなか理解しづらいだろうとも感じます。

読み進んでいくと、これまで何人かの友人知人が、自ら命を絶ってしまったという話が出てきます。
発達障害を持つ人達には二次障害の精神疾患による自殺というリスクがあり、実際に多くの人が亡くなっている現実に衝撃を受けました。

8項目の最後に「うつ」のさらに後に「今、うつの底にいるあなたへ」というページがあります。そこには、うつの一番つらい状態の人に最も必要と思われるライフハックが書かれており、同じうつの底から生還した著者だからこそ持っているであろう危機感と説得力を感じます。

この本は彼らの生き辛さを改善し、自殺リスクを回避するための本当の意味でのサバイバルガイドなのです。
 
 
発達障害を持たない人たちもこの本を読む事で、少しでも彼らの理解が進み、彼らの生き辛さが僅かでも軽減するといいのに、と思わずにはいられません。


東急プラザ戸塚店・TM
・2021/3/31以前の記事……税別の商品価格
・2014/2/28以前の記事……5%税込の商品価格

を表示しています。
現在の税込価格はリンク先のHonyaClub・在庫検索などでご確認ください。
----------