犬がいた季節『犬がいた季節』/伊吹有喜/双葉社/1,600円+税外部リンク 
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ワンコが大好きな方には、絶対読んでいただきたい一冊です。

コーシローと名付けられた白い犬が、ある日、ある高校に保護されます。
そして、そこで過ごす12年間に、いろいろな生徒達が入学しては去っていきます。

その彼らのそれぞれの青春を、時代の思い出とともに一匹のワンコが見守っていくというお話です。
何も特別なことは起こりません。たぶん、多くの方達の普段の生活の一片を
切り取り、そうそう、あの頃はあんなことがあったとついつい想い出話に
花が咲いてしまう、そんな一冊なのです。
 
昭和の最後の年、コーシローは保護されます。
そういえば、まだあの頃はまだ、迷い犬のようなワンコがたまに
田舎道をプラプラうろついているような時代でした。
共通一次に、初詣の初デート。うんうん、懐かしい。

平成3年は、鈴鹿が湧いたF1グランプリの青春。
中嶋悟、鈴木亜久里、懐かしい、懐かしすぎる。
そういえば、『アイルトン・セナ 天才ドライバーの素顔』という書籍も
よく売れました。
   
平成6年、神戸大震災と『マディソン郡の橋』とミスターチルドレンの年。
この年の青春は、試練の年でした。

平成9年は、スピッツの『スカーレット』の年。この頃の自分はすっかり青春を
とっくの昔にどこかに置いてきたような気持ちだったような気がします。
だから、こんなふうにこの小説のように高校生の頃にスピッツの曲と出会い、
想い出になるようなことがあったらよかったなあと思いました。本当に。

平成12年、ノストラダムスの大予言にだんご3兄弟。
グレイの曲もヒットしました。『However』。
そして、コーシローとも。。。

高校の片隅でひっそりと保護されたワンコが見守り続けた日々。
それぞれの年に、それぞれの青春があり、
ああ、そうだ、こんなこともあんなこともあったと
その時代ならではの出来事をからめた群像劇。

たくさんの「私の」18歳の想い出が頭によぎりました。
そして、いつのまにかあの頃の自分と再会しているような気持ちに。 
読書って、最高です。 

文/ 藤沢店・AS             
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