


未だ収束を見せない新型コロナウイルス感染症。
世界的に見ると感染者は増加し続け、日本においてもまだまだ感染拡大には注意が必要な毎日が続いている。
今回紹介する本は児童書ではあるが大人も一緒に読んでほしい過去のパンデミックの記録である。
著者はデイビッド・ゲッツ。子ども向けの主に科学ノンフィクションで活躍のアメリカ人作家。
過去の著作に『アイスマン、5000年前からきた男』がある。
本書は1918年インフルエンザのパンデミックのアメリカでの記録とその後の研究者たちの研究努力について書かれたもの。
日本ではスペイン風邪と呼ばれたインフルエンザのパンデミックは世界中で5000万近い人の命を奪った。
当時からインフルエンザの流行はあったが1918年のインフルエンザはいつもと違っていた。若くて健康な大人の命を次々と奪って行ったのだ。
第一次世界大戦の最中でもあり駐屯地で感染は拡大した。兵士や人の移動で世界中の町や都市も感染は拡大した。感染爆発である。
医師や物資は従軍のため不足し、当時のアメリカ総人口のおよそ三分の一にあたる人々が感染し死者は増えていく。足りなくなったのは医師や看護だけではなく墓掘り人夫や棺職人、葬儀屋。
読んでいて恐ろしくなる。
歴史上最悪の6ヶ月ののち、科学者たちは致死的なインフルエンザの謎を解き明かそうと研究を始める。
本書は2005年最初の刊行だが、この年にこのウイルスの遺伝子情報の解読が完了した旨の記載があった。
著者は最後に今後のパンデミックの可能性と世界的な対応に対して警鐘を鳴らす。
「わたしたちは、これから起きるパンデミックの前に安全でいられるでしょうか」と。
そして実際に現在、新型コロナウイルス感染症によって世界中が混乱に陥っている。
本書のインフルエンザをコロナに置き換えて読んで見ると基本的には同じであるのがわかる。
現在起きていることをしっかりとみて「検証」することの大切さを教えてくれる良書だと思う。
文/
ららぽーと海老名店・JI
過去の著作に『アイスマン、5000年前からきた男』がある。
本書は1918年インフルエンザのパンデミックのアメリカでの記録とその後の研究者たちの研究努力について書かれたもの。
日本ではスペイン風邪と呼ばれたインフルエンザのパンデミックは世界中で5000万近い人の命を奪った。
当時からインフルエンザの流行はあったが1918年のインフルエンザはいつもと違っていた。若くて健康な大人の命を次々と奪って行ったのだ。
第一次世界大戦の最中でもあり駐屯地で感染は拡大した。兵士や人の移動で世界中の町や都市も感染は拡大した。感染爆発である。
医師や物資は従軍のため不足し、当時のアメリカ総人口のおよそ三分の一にあたる人々が感染し死者は増えていく。足りなくなったのは医師や看護だけではなく墓掘り人夫や棺職人、葬儀屋。
読んでいて恐ろしくなる。
歴史上最悪の6ヶ月ののち、科学者たちは致死的なインフルエンザの謎を解き明かそうと研究を始める。
本書は2005年最初の刊行だが、この年にこのウイルスの遺伝子情報の解読が完了した旨の記載があった。
著者は最後に今後のパンデミックの可能性と世界的な対応に対して警鐘を鳴らす。
「わたしたちは、これから起きるパンデミックの前に安全でいられるでしょうか」と。
そして実際に現在、新型コロナウイルス感染症によって世界中が混乱に陥っている。
本書のインフルエンザをコロナに置き換えて読んで見ると基本的には同じであるのがわかる。
現在起きていることをしっかりとみて「検証」することの大切さを教えてくれる良書だと思う。
文/

