312『行った気になる世界遺産』/鈴木亮平/ワニブックス/1,600円+税外部リンク 
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俳優の鈴木亮平さんは世界遺産検定1級取得者。
 元々旅番組が好きだったのがきっかけだそう。
それにしても「行ったことのない世界遺産だけのことを書いた本」て、です。
私もどれどれと読んでみると、なるほど過去にいくつか訪れたメジャーな世界遺産は載っていません。なかなかいくことができない場所のようです。

亮平さんは、世界遺産を観光地だと思っていたが実は「残していくべき人類の価値であり宝」だと気づいたとあるところでインタビューに答えていました。
「観光地」だと思い込んでいた私には目から鱗です。確かに。

日本における京都だって、観光地以前に歴史と文化の街です。
観光地になるには理由がある、ということを「自ら調べる」ことで知ることができるし、これから訪れようとするならばなおのこと事前に調べておくことで、その場所を訪れたとき受け取るものはぐんと奥行きのあるものになるのでしょう。

人が持ち合わせている最高の力「想像力・妄想力」に、亮平さんの「絵心」も加わって、この本は私達に「いつかきっと行ってみたい」と旅心を抱かせてくれます。クリスマスが近づいてきたらエストニアのおとぎの国のクリスマスを堪能できるタリン歴史地区の章がおすすめです。

またポーランド・ワルシャワの旧市街の章では胸が震えます。
ナチスの攻撃で跡形もなく消し去られたこの街がなぜ蘇ることができたのか。

世界遺産は単に「素敵」な場所以上に、重要なメッセージを秘めているのです。
そこに暮らしてきた人びと、紡がれた歴史。守るための闘い。力づくに勝るもの。

鈴木亮平さんの「行った気になる」世界遺産は「行きたくなる」への招待状でした。

文/ 新百合ヶ丘エルミロード店・Y.N
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