『ダンピアのおいしい冒険』1／トマトスープ／イースト・プレス／888円＋税
18世紀にベストセラーとなった『最新世界周航記』という本をご存じでしょうか。
スペインの無敵艦隊が海の王者であった頃、イギリスの航海士ウイリアム・ダンピアが、アメリカ大陸を東側から回る航路で出会った生物や文化を詳細に綴った航海記録です。
航海士、 とはいえ、この頃に新しい航路を開拓したのは、大体が私掠船、所謂海賊達で、ダンピアもその一員として大海原に乗り出しました。
彼は、学者ではありません。高等な教育を受けた訳でもありません。
格差はあれど、労働階級も学校に行けるようになり、学ぶことや識ることに目覚めた庶民のうちの1人です。
その大いなる好奇心と知識欲が、当時の博物学、航海術、文学史に多くの影響を与えるほど詳細な記録を残しました。
その内容を元にフィクションの物語として漫画化したのが、この『ダンピアのおいしい冒険』です。
船の食糧難を解決するためにシャチを釣り上げて料理したり、出会った先住民の文化や生活の知恵に驚きながらも感銘を受けたり。
もちろん海賊なので、敵国の商船を見つけたら襲って積荷や船自体を奪ったりもしますし、国同士の陰謀や裏切りの気配も忍び寄ります。
そんな中でも前を向き、誰も見たことのない世界に目を輝かせるダンピアと共に、未知の世界へと冒険の旅に出てはみませんか？
文／
厚木店・NK
