


神奈川県民なら誰でも1度は通ったことがある、首都圏道路の大動脈、国道16号線。
(定義的には神奈川県・東京都・埼玉県・千葉県を結ぶ環状道路だが諸説あり)
普段何気なく通っているこの道路、実は今も昔も日本の歴史・政治・経済にとって重要な道路だったことが、この本を読むとわかります。
道路沿いで貝塚が残っている場所が発見されたという事で、先史時代から人々が住んでいたことが分かります。
また、鎌倉時代には源頼朝がこの道路の周辺に幕府を開いたことで、戦略上の道として発展。徳川家康の江戸幕府がさらに開墾を進めたのち開国を経て整備され、近代日本の重要な拠点となりました。
明治時代には富岡製糸場に代表されるような絹、生糸の物流拠点として発展し、その道は「日本のシルクロード」と言われ繁栄、さらに戦後は、進駐軍のキャンプが16号線周辺に点在し、海外の音楽が流入し、そこからクレージーキャッツやドリフターズなどのバンドが出てきたりもしました。
その後、昭和~平成にかけて、矢沢永吉・松任谷由実・サザンオールスターズなどが曲中に16号線沿いを描いたおしゃれな街(通り)として取り上げられたり、時にはラーメン激戦地としてメディアを賑わしたりした時代もありました。
一時期、高齢化による人口減少の起点として囁かれる時もありましたが、近年は「ポケモン」「翔んで埼玉」や郊外の大型ショッピングセンターの点在地として再び盛り上がりを見せる場所も出てきたのです。
このように国道16号線は、時を経て変容しながらも主要道路としての役割を保ち続けています。
そしてこれからは、私たちもその歴史の証人としてこの道を通っていくのかも知れません。
文/ 藤沢店・KM
