135『人新世の「資本論」』/斎藤幸平/集英社 集英社新書/1,020円+税外部リンク 
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本書は、2020年9月に刊行され、発行部数20万部を突破し、「新書大賞2021」の大賞にも選出された今話題の新書です。


私は普段コミック担当をしていますが、担当ジャンルを越えてでも、本書を薦めたいと思いました。
書店員としてではなく、この社会に生きる一人の人間として、今の社会にとって必要な本だと考えています。
なぜなら、本書が社会をより良くする一冊だからです。

本書は、現代社会が抱える多くの問題(気候変動・環境破壊・格差・過労死など)は、一つに繋がっていて、その原因は資本主義であると説明しています。
そして、それらの問題を解決する道筋として、「資本主義の廃止」や「脱成長」、「SDGsは現代版『大衆のアヘン』」といった提言や言葉が挙げられています。

これは、資本主義を当たり前に感じていると受け入れにくい内容で、「資本主義の廃止なんて可能なのか」「脱成長で経済は大丈夫か」「SDGsは取り組むべきではないか」といった疑問や不安を感じます。
しかし、本書で語られる資本主義の構造と問題点を知ることで、逆に資本主義が当たり前の社会の方にこそ、疑問や不安を感じるようになります。
このことは、おそらく多くの人が日常的に感じていることで、共感できるものだと思います。だからこそ多くの人が読まれ、発行部数が20万部も突破したのだと思います。

本書では、「3.5%の法則」と呼ばれる法則が紹介されています。
これは「人口の3.5%が運動を起こせば社会は変わる」「暴力よりも非暴力の方が2倍も目標を達成している」というものです。
たった3.5%とは驚きの数字です。社会を変えることは意外と簡単なことで、自分もやってみようと思えるようになります。
本記事をお読みになった方も、3.5%に加わる第一歩として、ぜひ本書をお読みいただければと思います。

文/ ヨドバシAKIBA店・EM

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