


2021年夏、『鳩の撃退法』映画化!
観る前(後でも)に読みたい一冊。
「今年四十歳になるタクシーの運転手、武上英夫は秘密を三つ持っている。」
から始まるこの小説は、もう出だしから秘密が何なのか知りたくてわくわくします。
いろんな男女が巧みに交差して登場し、もう誰が誰だかわからなくなる、
何だかダマされたような気持になる話なのですが、なぜかまた読みたくなるのです。
佐藤正午の小説はクセになります。
登場人物の名前がどれも素敵に思えてしまうのは欲目でしょうか。
この作家にかかると日常がとても特別なものに見えてきます。
何気ない会話に惹き込まれ、淡々と世界を見渡して、いろんな事があるけれど
このままやっていけそうな気がしてきます。
そしていつまでもこの世界に入り込んでいたいと思うのです。
映画化される『鳩の撃退法』に出てくる倉田健次郎が、この本にも登場します。
観てから読むか、読んでから観るか、ぜひこの世界を楽しんでください。
文/

