558『海をあげる』/上間陽子/筑摩書房/1,760円(税込)外部リンク 
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一言で言って、打ちのめされる本です。

沖縄で未成年の少女たちの支援、調査を続けている社会学者のエッセイで、自らの彼女に援助交際をさせて稼いでいたホストの話です。



著者自身の祖母、母との関係や沖縄の普天間基地や、辺野古埋め立ての問題など、自らの娘に語りかえるような柔らかな文章がつづられます。読みすすめるにしたがって、著者の言葉の奥にある怒りや悲しみ、絶望が切々と伝わってきます。
しかし、物事に対して厳しい言葉を投げかけるわけではなく、そのまなざしには温かみがあります。自ら当事者であるということに全力で向き合う姿は読者の胸を打ちます。
著者の怒りはその物事に対してではなくて、無関心に対して向けられたものです。書かれている目線はひたすらに低く、身体からにじみでるような文章は様々な困難を乗り越えてきた人にしか書きえない誠実なものです。
最後に著者が読者に突きつける課題はとても重いが、多くの人に読んでいただきたい一冊です。

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