


『黒牢城』という作品で第166回直木賞にノミネートされている米澤穂信さんの10年以上前の作品。
高校を舞台にした「古典部」シリーズの第5弾ですが、シリーズの中で一番好きな作品です。
これがなんと、マラソン大会のスタートからゴールまでの間に謎を解く、という斬新な設定でわくわくさせてくれるんです!
ミステリーには、殺人事件などではなく日常の謎を解く作品群がありますが、私はそれに滅法弱いです。
「なぜ?」と不思議に感じる好奇心、感受性が物語を面白くし、謎解き自体も探偵や警察ではなく自分の心で解いていく、気持ちを揺さぶられる物語が多いからだと思います。
『ふたりの距離の概算』も、探偵役がマラソン大会を走りながら、心で謎を解いていきます。
新入部員はなぜやめると言い出したのか、その謎を解く過程には瑞々しい感受性が輝いています。
ミステリーの賞を数々受賞されている米澤穂信さんですが、「古典部」シリーズのような日常の謎を丹念に描いてこられたからか、本格ミステリーや歴史ミステリーでも、一番の魅力はミステリーの筋やトリックよりも、丁寧に物語を紡がれることなのではないかと私は感じています。
読み応えがある重厚な物語に繊細な感受性が光っている、そりゃ面白い訳です!
ミステリー好きではなくても、ぜひ一読おすすめしたい作家さんです。
【有隣堂ヤフーショッピング店でも販売中】
https://store.shopping.yahoo.co.jp/yurindo/9784041003251.html
売り切れの際にはご容赦ください。
