ふたりの距離の概算『ふたりの距離の概算』/米澤穂信/KADOKAWA/1,540円(税込)外部リンク 
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『黒牢城』という作品で第166回直木賞にノミネートされている米澤穂信さんの10年以上前の作品。

高校を舞台にした「古典部」シリーズの第5弾ですが、シリーズの中で一番好きな作品です。
これがなんと、マラソン大会のスタートからゴールまでの間に謎を解く、という斬新な設定でわくわくさせてくれるんです!

ミステリーには、殺人事件などではなく日常の謎を解く作品群がありますが、私はそれに滅法弱いです。

「なぜ?」と不思議に感じる好奇心、感受性が物語を面白くし、謎解き自体も探偵や警察ではなく自分の心で解いていく、気持ちを揺さぶられる物語が多いからだと思います。

『ふたりの距離の概算』も、探偵役がマラソン大会を走りながら、心で謎を解いていきます。

新入部員はなぜやめると言い出したのか、その謎を解く過程には瑞々しい感受性が輝いています。

ミステリーの賞を数々受賞されている米澤穂信さんですが、「古典部」シリーズのような日常の謎を丹念に描いてこられたからか、本格ミステリーや歴史ミステリーでも、一番の魅力はミステリーの筋やトリックよりも、丁寧に物語を紡がれることなのではないかと私は感じています。

読み応えがある重厚な物語に繊細な感受性が光っている、そりゃ面白い訳です!

ミステリー好きではなくても、ぜひ一読おすすめしたい作家さんです。

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