『ワンダフル・ライフ』/丸山正樹/光文社/1,870円(税込)
昨年の「読書メーター OF THE YEAR 2021」に選ばれた作品。
遅ればせながら手にとりました。
遅ればせながら手にとりました。
事故で重度の障害を負った妻を自宅で介護する「わたし」の話から物語は始まります。
障害者差別など苦しいテーマの短編が続きます。
差別は悪、不倫は悪、それは偽善?こんな風に思う私がいけない?などなど、本当は当事者にしか分からないはずの思いが、枠にはまってさらに苦しくなっていく。
正解などないことが世の中にはたくさん存在していて、私だったらどうするだろうか、どう思うだろうかと問われ続ける読書でした。
物語の構成が面白くて読後の印象を少し軽くしてくれますが、「ぼーっと生きてんじゃねーよ」と言われたような印象は変わらず。
本好きによる読書メーターのOF THE YEARにこうした本が選ばれているのがなんだか嬉しい気がしました。
自分とは違う人生について考えるきっかけをもらうという小説の醍醐味の一つをぐっと味わった1冊でした。
読後、小説の構成の妙に物思い、著者のあとがきを読んでまた物思う。
なかなかない一冊だと思いますのでみなさまも是非チェックしてみてください。