思いがけず利他『思いがけず利他』/中島岳志/ミシマ社/1,760円(税込)外部リンク 
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このところ耳にするようになった「利他」という言葉。
「利己」に対して「利他」。
自分以外の他者に利益があるようなふるまい、と言えば良いのだろうか。

正直なところ、私は「利他」という言葉を素直に受け止めることができなかった。

正しすぎるし、押しつけがましくも感じていたのだが、
著者も同じような考えから出発し、「利他」の本質に迫る(これは信頼できる!)。

落語の「文七元結」やヒンディー語の与格構文、土井善晴や志村ふくみと民芸のつながり、九鬼周造の「偶然性の問題」など、一見「利他」とは関係がないような例をあげていく。

例えばヒンディー語で、「あなたはヒンディー語できますか?」(主格)という言葉を直訳すると「あなたにヒンディー語がやってきて、留まっているか?」となるらしい。

つまり、どこかからやってくる(そもそも自分のものではない)。
この与格構文には主格には捉えられない、「利他」の構造があるのではないか。

また、わたしがわたしとしてこの世に存在していることは偶然である、という九鬼周造の思索から「利他」の根底にある「偶然性」を見る。

つまり、「利他」とは「やってくる」ものであり、そこには「思いがけない」「偶然性」がある。
そうであれば、利他的な生き方とは何か。
著者のたどりついた結論に心から共感した。

コロナ禍で人との関わりが難しくなっているいまこそ、読んでいただきたい一冊です。

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