ひとりでカラカサさしてゆく『ひとりでカラカサさしてゆく』/江國香織/新潮社/1,760円(税込)外部リンク 
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10代の頃からもう30年近く、江國香織さんの小説を読んできたけれど、「人はみな、結局のところ1人で立っている」ことをみせてくれるという点が、一貫しているんだなあとこのたび初めて思った。

タイトルは童謡「雨ふりお月さん」の一節。
子どもの頃から好きな歌なので嬉しい。
月が空を巡る様子をうたった歌だとも言われるみたいだけど、私の想像の中では1人の凛とした女性が馬にまたがっている。
雨が降っても、傘がなくても、濡れていくわ、とちがう世界へゆく。
江國香織さんの小説を読んだときに感じる印象と一緒だった。
生きているといろんな役割や立ち位置がくっついてくる。
気に入っている役割もそうでないものもある。
誰かにうらやましがられるような時もあれば、憐れまれたり、疎まれたりすることもある。
それが人生なのだろうけど、幾つものしがらみの中にいるように見えても、人は結局は1人。
途方に暮れても、迷っても、助けの手があろうとなかろうと、最後は自分で決めて、濡れながらでも行くしかない。

自分の感受性以上に、守るべきものなどないのかもしれない。
何かの「役」のためではなく、自分で自分を生かして、生きる。
その心細さと清々しさ。
人は1人では生きていけず、助け合い、守り合い、影響を受けたり与えたりして、それが人生を豊かにしてくれるのだけれど、根底にあるのは自分の生。
私の生を生かせるのは私だけ。

思春期に出会って以来、江國香織さんからなんて大きなものを教わってきたのだろうとしみじみした。
大人の恋を描く作品が多いけれど、今回は思いがけずに接点をもつことになった大人達の群像劇。
1人ひとりの人生が際立つ。
自由な心で自分に責任をもって、豊かに生きていきたい、と背中を押される気持ちになる。

江國作品に親しんできた方はもちろん、そうでない方にもぜひ出会っていただきたい1冊です。

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