ボタニカ『ボタニカ』/朝井まかて/祥伝社/1,980円(税込)外部リンク 
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先日2023年のNHK連続テレビ小説が発表になった。
モデルは日本の植物学の父こと牧野富太郎。

彼の生涯を描いたのがこの「ボタニカ」だが、
牧野はやっぱりすごかった。
高知で酒造業を営む裕福な家に生まれ、本来は跡取り息子。
しかし、幼いころから植物に興味を持ち、ほとんど独学で研究。
明治初期なので、情報なんてほとんどない時代に、である。

植物学の本を買い集める。東京にも度々訪ねる。お金がどんどん出ていく。
地元高知ではいとこの猶(なお)と結婚するも夫婦生活はほとんどなし。
しかし東京で知り合った女性と子どもを作ってしまう。
この辺は無茶苦茶でいまの常識では考えられないような話がどんどん出る。

小学校を中退で学歴がない&アカデミズムに全く関心もなく大学でも助手扱い。
それでも志は高い。日本で一番の図鑑を作る。それも自費!
月給15円の時に何万も借金するなど借金は膨らみ続け……。

研究熱心過ぎて、借金まみれという普通では考えられない状況になっても「なんとかなるろう」(なんとかなるだろう)という彼の楽観は筋金入りで、こちらまで勇気をもらう。
そして、不思議なもので、もはやこれまで……というときに助けてくれる人が出てくる。

とにかく愛されている。

好きなものを極め、この人しかいない、と思わせる熱量はすさまじく、94年の人生を通じて間断がない。
読みながら牧野のいい加減さにときどき腹が立つが、それでも彼の成功を応援せずにはいられない。

牧野の魅力を余すことなく伝えてくれる本である。

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