茨木のり子詩集『茨木のり子詩集』/茨木のり子/岩波書店/770円(税込)外部リンク 
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10年ほど前、友人に教えられた「自分の感受性くらい」。

以来その詩は心を掴んで離さないのだが、最近改めて茨木のり子の詩に心を揺さぶられている。
本書は「倚りかからず」「わたしが一番きれいだったとき」などの主要な詩が「櫂」の同人でもあった谷川俊太郎によって選ばれている。
読めば読むほど味わい深い。そしてひとつひとつの言葉はやらかくも強い。

たとえば、いつも乗るバスでの情景から、洋服店を営む老夫婦の姿を詩にした「大国屋洋服店」はほのぼのとしているはず光景から深い憂いみる。

「この国では つつましく せいいっぱいに生きている人々に 心のはずみを与えない みずからに発破をかけ たまさかゆらぐそれすらも 自滅さえ 他滅させ 脅迫すものがある」

若いころ戦争を体験した著者の国への深い怒りが心に突き刺さる。

そしてこの本がすばらしいのは、遺作詩集『歳月』(一部)が収められてることだ。
早く亡くした夫への思いを書き溜め、「Y」とかかれた箱に温めていた約40篇の詩。

茨木の没後出版された『歳月』はどの一篇も読むたびに目頭が熱くなる。
「真実を見きわめるのに二十五年という歳月は短かったでしょうか(中略)
けれど 歳月だけではないでしょう たった一日っきりの 稲妻のような真実を 抱きしめて生き抜いている人もいますもの」(「歳月」)

亡くなって17年を経ても瑞々しい輝きを放つ言葉にぜひ触れてほしい。

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