82年生まれ、キム・ジヨン『82年生まれ、キム・ジヨン』/チョ・ナンジュ/筑摩書房/1,650円(税込)外部リンク 
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軽い気持ちで読み始めたが、思わぬ内容の深さにどんどん引き込まれた。

キム・ジヨンは82年にソウルに生まれ、平均的な過程でごく平均的な少女時代を過ごし、そこそこの学生時代を送り、数年間OLをして、現在幼い娘がいる主婦である。

この「ごく平均的」ということがいかに重いかということを読者は思い知ることになる。

両親と姉、弟の5人家族。
弟が生まれた時から特別扱いをされていたことや、学校での男子との不平等、会社での男女雇用機会不均等など、どちらかといえば大人しく素直なジヨンは可もなく不可もなく過ごしてきたはずだ。

しかし、ともかく韓国社会で平均的に生きてきた彼女は次第に心を壊していきその原因は今までの社会生活の中にあったのは明らかなのである。

キム・ジヨンはという名は韓国ではよくある名なのだそうだ。

ジヨンの心の過程が一般的な韓国女性の想いをすべて写しているをとするのは早計だが、なぜ韓国人は整形するのか、なぜ韓国ドラマにシンデレラストーリーが多いのか、まったく論理的根拠はないが、その答えの一端を見た気がするのはどういうことだろう。

これはれっきとした社会学。
このような作品にした著者は天才。


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