


最初に読んだのはいつだったろう。夏になると思い出す小説。
切符をなくして「駅の子」として暮らす子どもたちのファンタジー。
交通系ICでピピっと改札を通るようになって久しいけれど、この物語はいつまでも古びない。
冒険、幼い心の在りよう、生と死。心温まったり、さびしくなったり、ちょっぴり苦しくなったり、心を揺らしてくれる物語。
冒険、幼い心の在りよう、生と死。心温まったり、さびしくなったり、ちょっぴり苦しくなったり、心を揺らしてくれる物語。
池澤夏樹さんの小説がとても好きでたくさん読んでいますが、物事や世界を様々な角度から見つめる視界の広さに、いつも感じ入ってしまいます。
この物語は児童文学ですが、池澤夏樹さん流の世界の見方、心の深さをずっしりと堪能できる一冊だと思います。
「人の心は小さな心の集まりからできている」
「人が何かを決める時はその小さな心が会議を開いて相談したり議論したりして決める」こんな風に、思わず唸ってしまうような考え方がたくさん描かれます。
いつかの私もこの物語の中にいたように思える、そんな親密な雰囲気があります。
子ども達の感情の波はとても清冽で、まっすぐ心に沁みとおってくるような気がします。
なにより、生と死についての考え方がとてもいい。深く深く、考えさせられます。
少年少女時代にぜひ出会ってほしいと思う一冊です。
もちろん大人でも充分に楽しめます。
この物語を胸に携えているかどうかで世界の見え方もちょっと違ってくるだろうと思える、力強い物語です。
この物語を胸に携えているかどうかで世界の見え方もちょっと違ってくるだろうと思える、力強い物語です。
ぜひこの夏、お手にとってみてください。
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