


人は誰も生きない、このように生きたかったというふうには。
どう生きようと、このように生きた、誰だろうと、そうとしか言えないのだ
どう生きようと、このように生きた、誰だろうと、そうとしか言えないのだ
長田弘さんの詩にそうあって、本当にそうだなあと思った。
帯に「思い出すことは世界と出会い直すこと」とあって、それも本当だなあ、と思った。
過去と出会い直すのはいいことばかりじゃない。
こんなふうに生きてしまった、そんなつもりはなかった、選べなかった、出来なかった、考えなしだった、しかたなかった、、、、
こんなふうに生きてしまった、そんなつもりはなかった、選べなかった、出来なかった、考えなしだった、しかたなかった、、、、
なかった、がいっぱい。
それでも、私は「このように生きた」のだ。
独特の、近くて遠い人の描き方、目に見えるものの描写が感覚を投影していくような感じが、この著者は詩人なんだなあと思わせる。
自分が重たい肉を持って生きている不自由で不器用な生き物であることを思い出させ、ちょっと迷子になる気分。
井戸川さんの小説は少し不穏で心に沁みとおる。
井戸川さんの小説は少し不穏で心に沁みとおる。
ぜひ、過去と出会い直し、迷子になってみてください。
