909『冬虫夏草』/梨木香歩/新潮社/1575円(5%税込)詳細
それは、ほんの百年すこし前のものがたり。
亡くなった友の、古い家を守り住む綿貫征四郎。
庭や近所の往還に見たり触れたりする植物。出会う小動物。樹木。雨。
どれもあたりまえの身近なものでありながら、征四郎が接すると、植物はその精となり、小動物は妖を伴い、自然現象は気となる。
これは時代か、それとも征四郎が呼び寄せるのか。
亡くなった友、高堂もときおり顔を出す。 [ 続きを読む ]