


20年くらい前に当社を退社して、年賀状だけ続いている友人の今年の年賀状には、「堀江敏幸の新刊が出ないかなあ」とありました。明るく、さっぱりした気性の彼女が、堀江敏幸が好きなんだ、とちょっと新鮮に感じました。
この本が出て、彼女も喜んでいることと思います。
この本は13章から成っていて、目次を順番に追うと、「波うつ格子」「欄外の船」「履いたままお前はどこを」・・・とあります。これだけでイマジネーションが刺激されるというか、詩のようだとは思わないでしょうか。小説なのか、事実を書いたエッセイなのか、端正でありながら、たゆたうような作品です。 [ 続きを読む ]