過去の「本の泉」

「小川洋子」の記事一覧



『密やかな結晶』大切なものが失われてゆく世界の物語

密やか『密やかな結晶』/小川洋子/講談社 講談社文庫/820円+税外部リンク 
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その島では記憶が少しずつ消滅する。
朝が来て目を覚ますと大切な何かが消えていて、消えた何かに関するものは『記憶狩り』にすべて回収され処分してしまうけれども、住人達はゆっくりとその現実を受け入れて大切なものを失いながら生活を続けてゆく。
『小説』を生業とするわたしの前から『小説』が消える日がやってきて……
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『偶然の祝福』思いどおりにいかない毎日にふと訪れる偶然の祝福

005『偶然の祝福』/小川洋子/KADOKAWA 角川文庫/476円+税外部リンク 
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確実に読んだ本なのに、題名を見ても、作者名を知っても、本の装丁を確認しても、時にはあらすじを読んでさえも、どんな本だったか全く思い出せないことがある。

自分でも呆れるが、長篇でさえそうなのだから、短篇はもう忘れるのが当たり前になりつつある。

そんな中、ふとした瞬間に思い出したり、運よく家の本棚で見つけられれば、再び読み返す短篇もいくつかある。

『偶然の祝福』の中の「キリコさんの失敗」は、私にとってまさにそんな宝物だ。
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『琥珀のまたたき』 閉じた家での宝石のような時間

kohaku『琥珀のまたたき』/小川洋子/講談社/1500円+税外部リンク 
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一番下の小さな娘を亡くした母親は、3人の子どもを連れ、父親にゆずられた別荘にやってくる。
3人は別荘の壁の中で、いままでの名前を忘れ、小さな小さな声で合唱し、父の残した図鑑を学習し、独特のゲームを考えては遊んで、3人と母親だけで完結した世界を作る。

仕事をする母以外は外部との接触を一切持たず、壁の外に出ることは禁止されている。壁の外には、小さな妹を奪った、恐ろしいものがいるのだから。 [ 続きを読む ]



『薬指の標本』 この従属は、愛と呼ばれるものだろうか

薬指の標本『薬指の標本』/小川洋子/新潮社/400円+税外部リンク 
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薬指の先が事故で欠けた女性は、奇妙な標本室の事務員となる。
標本技術士の弟子丸と、二人だけの職場だ。
ここの標本は単に保管する以外の意味を秘めて作成される。たとえば「楽譜」の標本を依頼した女性は、紙を保管したいのではない。別れた、作曲家の彼からプレゼントされた優しい曲の「どうしても消せない音」を閉じ込めたい、というように。
身近に置くことも捨てることも、ただしまうこともできず、思い出し懐かしむためのものでもない。封じ込め、分離し、完結させる。 [ 続きを読む ]



『カラーひよことコーヒー豆』 心温まるエッセイ集です。

カラーひよこ『カラーひよことコーヒー豆』/小川洋子/小学館文庫/459円(5%税込)詳細

『Domani』に連載されていたエッセイ集です。

さらりと書かれた本書はどれも読みやすく、電車の中でもちょっとした空き時間にもピッタリと程よい長さでした。 [ 続きを読む ]



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