過去の「本の泉」

「新潮社」の記事一覧



『成瀬は天下を取りにいく』天下を取るまで見守り続けたいので、続編を切に希望している

951『成瀬は天下を取りにいく』/宮島未奈/新潮社/1,705円(税込)外部リンク 
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こんな子と友だちになりたい。
成瀬と同年代だったら、そう思えたかどうかは正直、微妙なところだ。多分、理解できなかったと思う。

ただ、憧れたとは思う。
それくらい、彼女のやることなすことが痛快で、思ったことをすぐ実行に移すバイタリティは称賛に値する。
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『人形の家』物語の芯がいつまでも古びない名作

601『人形の家』/イプセン/新潮社/473円(税込)外部リンク 
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ノラもまた考えた。
廊下へ出てうしろの扉をばたんとしめたときに考えた。
帰ろうかしら。・・・・太宰治『葉』

20代前半に読み、わけもわからぬまま美しい文章としてずっと心に残っていたものが
20年近い時を経て、ああ、と腑に落ちた。

ノラの物語は、当時新しい女性像として世界中の作家にも影響を与えたのだと思う。
めくるめくように進む戯曲の中で、自身は自身で教育しなければならない、人形のままでは生きられないと気づくノラの決意は、すがすがしさを通り越して胸に痛い。
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『フランケンシュタイン』人の存在や善悪、心についてなど、考えたいことがたくさん生まれ出る

651『フランケンシュタイン』/メアリ・シェリー/新潮社/825円(税込)外部リンク 
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1797年生まれ、詩人に道ならぬ恋をして結婚した19歳女性、第二子誕生後の手遊びで書き始めた小説。
誰もが知っているフランケンシュタインの物語をこんな若い女性が書いたいたなんて!

こんなにも先が気になる牽引力のある強い物語がこんなに昔に書かれてていたなんて!これには驚かされたけれど、華麗な文章も、ちょっと待ってよと思う部分も、著者の生まれた時代や描いた年齢、数奇な人生を思うと自然に受け入れられる。
自然や人の描き方が美しく、登場人物の話し言葉も長い手紙も豊かな感情が伝わってくる。
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『街とその不確かな壁』すばらしさをすごく描き切ってくれたような気がして、読み終わってうっとりしている

437『街とその不確かな壁』/村上春樹/新潮社/2,970円(税込)外部リンク 
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『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は読んだそばから忘れてしまう特別な小説で、ずっとその理由にうまく説明がつけられなかった。

ただ言葉のリズムを楽しみに行っている、私にとって心地よい音楽みたいな小説なんだと思い、繰り返し読んできた。

今回これを読んで、『百年の孤独』や『愛と精霊の家』『ホテル・ニューハンプシャー』を読んだ時も同じ種類の音楽を聴いていたんだと分かった。魔術的なのだ。
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『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』「生」が愛しくなるようなエッセイ。編み物への興味は関係ありません!

781『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』/三國万里子/新潮社/1,650円(税込)外部リンク 
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時々全く知らない人のエッセイが読みたくなる。本屋さんを眺めていてピピっとセンサーにひっかかる。今回もそうやって出会った本だったけれど、金魚を釣るつもりでクジラを釣ってしまった!という気分。
三國さんの文章には「書かなかったこと」に雄大な世界がひろがっている。書かれる部分にはユーモアとさばさばした日常の断片が散りばめられている。
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『バカと無知』自分がバカだと気付くためのエッセンスが詰まっている

バカと無知『バカと無知』/橘玲/新潮社/968円(税込)外部リンク 
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「下手糞の上級者への道のりは、己が下手さを知りて一歩目」

『SLAM DUNK』の安西監督と言えば「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」という名言で有名だが、ジャンプシュートの練習をする桜木花道に向けたこの言葉も、知る人ぞ知る名言。
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『#真相をお話しします』あまり読書する時間はないけれど、面白いミステリが読みたい! という方に

#真相をお話しします『#真相をお話しします』/結城真一郎/新潮社/1,705円(税込)外部リンク 
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タイトルの通り、最後の最後で真相が語られる、5編の短編からなるミステリ短編集。

「最後で真相が語られる」とは「何を当たり前のことを!」と叱られてしまいそうだが、わざわざそう言ってしまう所が本書のトリックで、一見落着したかな?と思わせておき、更なる「真相」が最後に語られることによって、もう一段階、思いも寄らない結末に落とされるのである。
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