薬指の標本『薬指の標本』/小川洋子/新潮社/400円+税外部リンク 
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薬指の先が事故で欠けた女性は、奇妙な標本室の事務員となる。
標本技術士の弟子丸と、二人だけの職場だ。
ここの標本は単に保管する以外の意味を秘めて作成される。たとえば「楽譜」の標本を依頼した女性は、紙を保管したいのではない。別れた、作曲家の彼からプレゼントされた優しい曲の「どうしても消せない音」を閉じ込めたい、というように。
身近に置くことも捨てることも、ただしまうこともできず、思い出し懐かしむためのものでもない。封じ込め、分離し、完結させる。 [ 続きを読む ]